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「船、小っせぇから落ちんじゃねぇぞ」
「落ちないよ」
肩をぶつけたのはアランの船が横から突っ込んできたせいで、不可抗力だ。いくら海に慣れていないとはいえ、船から落ちるようなことはない。
アラン達が住んでいる洞窟の一番奥、頑丈な扉で仕切られた宝物庫に行き、置いてあった物の一部を袋に詰め込んでいる後姿を扉に凭れて眺めていた。
「島の周り、潮流が酷いだろ?いつもはある程度の場所まで大型の船で行って、小船に乗り換えてくんだけど……あ、あった。ベルリングとの取り引きの日まで休みってことになってるし、小さい船しか動かせねんだよ」
大型船でさえ、あれだけ揺れた海の上を小さな船で行くから気をつけろ。そういう心配なのだと知り、どう答えて良いのか分からず、曖昧に返事した。
「操縦は俺がやるから、カイルは下でこいつが壁にぶつかって船壊さねぇように見てて」
肩に担いだ荷物を指差した。
「半分持つよ」
「肩痛めてんだろ?平気だって、このくらい」
扉に再び鍵をかけ、階段を下りて行く。船着場には大きな海賊船に隠れた場所に小さいとはいえ、操舵室と船室に分かれた立派な船があった。ひらりと飛び乗ったアランが、
「ん」
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