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そう。アランの目はカイルを捕らえている。
だから大丈夫。
ふっと足の震えが治まり、少しよろけたが普通に歩けた。
「ゴメン。さっき打ったとこが痛くて」
何か言いたそうに開いたアランの口を、先に嘘をつくことで閉じさせた。一気に下がった体温がまだ身体を震えさせるが、我慢できる範囲だ。心配してくれているのが分かっても、説明出来ないから聞いてほしくない。
「道、結構複雑だから、迷子になんないように服の端掴んでな」
「迷子ってなんだよ……」
ムッとしたが何かを掴んでいないと不安で、アランの服の端を掴んだ。ニッと口の端が吊り上がったのが見えてしまったが、この際、無視する。
細い路地の奥、小さな家の前に立って呼び鈴を鳴らすと扉の小窓が開き、アランの姿を確認してから扉が開いた。中から出て来た老人が家に招き入れ、カイルには分からない言葉で話し出す。老人の目がカイルを捉え、アランに何事か問うてる雰囲気が伝わってきて軽く会釈した。隠し扉から現れた薄暗い階段を下りて行き、待ち構えていた男の前で袋の中身を一つずつ取り出していく。
ベルリング王国は、アランが住んでいたナザニエル帝国の皇家と流れを同じくしてる。
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