始まりの事故

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始まりの事故

これは最近の話。 肉体を持たない者達の、唯一の遊び。 例えるなら、少年が、捕まえた昆虫を見るような。 ですが神々は、何億もの星のくだらない最後を観察していました。 ある所は戦争で、また別の場所では環境破壊。 その放置ゲームは、いつもつまらないオチで終わっている。 気付いたのは、さらにその数億年後でした。 そしてある時思い付きました。 これ以上、宇宙のエネルギーで、作った所に奴等を入れても意味がない。 そうだ、自分達で虫籠(せかい)を作ろう!..と。 彼ら手作りの世界が誕生しました。 結果は..まだ分かりません。 ですが、彼らは今日も信じます。 虫籠が壊れるまで...永遠に。 そして、一人の人間に期待が寄せられました。 その男、自分の能力を自慢せず。 他者を見下すことなく、しかし絶対的に信用することはない。 活かし、利用し、身につける。 試し、機転を利かせ、行動する。 時に意外な美をみせる彼に、魅せられたのです。 そして今、彼は文明を作らんとしています。 彼らは、涙のような雨を地上に降らし、喜んだ。 ●▲▼●▲▼●▲▼ 何人もいる下部共の目の前には玉座が3つ並ぶ。 左右には、異なる種族の男女。 あの男は、その中央で肘をつき、足を組んでいた。 その後立ち上がり、皆がしっかりと見える位置に移動する。 左目は黒、右目は青いオッドアイ。 石の防具を身につけ、少しふらついている。 そこに、強者の風格は無い。 当然だ。彼の力は、外見だけではわからない。 「今日からこの村は、国へと昇格した。 皆、これからも宜しくな!」 そして....と、少し間をおいてから一人のオーガを呼び出す。 「お前には、今後とも彼らを従える許可を出す。 俺には扱いが分からないしな。」 瞬間、そのオーガ、見た目に似つかわしくない水を目から流した。 まるで永遠の忠誠を誓うように。 もう一度、改めたようにコホンと軽い咳をしたあと、 ペンを取り出し、何か紙に書いている。 「今日から俺は、名を変更する。 "ルシド.レ.ブレイン"だ! 明日からそう呼ぶように。」 [人間]から、[ルシド.レ.ブレイン]に、変更された。 歓声が巻き起こる。 彼の名を取った、ルシド王国が、建国する。 だが、これはまだ先の話。 それまでには、色々な事があって................。
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