始まりの事故

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ババ抜きをすることに決定した。 全員強制参加で。 だが、これは普通の娯楽ではなかった。 アツシがサトミのカードを引くときだけ、 異常に遅い。 彼らだけのプライドを駆けた戦い。 始まりのゴングは、俺らには聞こえなかった。 女勇者のターン。 選択肢は『引き抜く』だけ。 真ん中、左、右。 と選び続ける。 だが、相手モンスターのムカつく顔攻撃! 勇者の判断を鈍らせた。 この駆け引きは、一時間も続いた。 結局、何も起きないまま、 バスが目的地へ到着したのだった。 いい忘れていたが、俺らは登山部だ。 よって、勝負の内容は、 どちらが先に山頂に行けるかに変わった。 しかし、登山には協力が必要不可欠。 途中までは助け合うらしい。 早速、彼の出番がやって来た。 いつものことだ。 「皆ぁ! 俺に続けー。」 壁のような坂道を、 一番体力のあるアツシが先に登る。 手にクナイのような物を装備し、 刺しながら進む。  後は命綱を引っかけて、 それを俺らの方に届くよう、下ろしてくる。 それを頼りに進む訳だが、登り初めて少したった時 縄を..切られてしまった。 裂けるような笑みと共に。
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