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古賀さんが熱い視線を向けるもなんのその。
下を向いて目を閉じたまま、起きる気配もない。
しかし、家が豪邸で社長の息子である彼が、パトロンを望むとも思わないので笑ってごまかした。
「できましたよ。もし新しいネイルにする場合は、白鳥さん、再来週の火曜と木曜の20時なら時間とれそうです」
「あら、そう。どっちもデートだわ。たまには若い子に頼もうかな。貴方はいつ時間がある?」
「私でしたら月曜以外、午前中は時間に余裕があります」
「決まりね。金曜にお願いする。時間は貴方の都合に任せるわ」
トントン拍子で予約も決まり、白鳥さんが戻ってくると同時に古賀さんが出て行こうとしていた。
「華怜さん、戸締りしててもらっていい? 私、古賀を店まで送っていくわ」
「……はーい」
戻ってきた白鳥さんには、待合室に座っている彼は見えなかったようだ。
「あのう、店を閉めますので、出てください」
「……」
カウンターからけっこう大声を出したのに、気づいていない。
近づきたくないなって思い、レジに飾っていたユニコーンのぬいぐるみを、彼の頭に投げた。
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