一、過去系両想い

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 コロコロと転がるユニコーンは、苦情の顔を私に向ける。  が、全く無反応の彼をよく観察すると、寝息を立てていることに気づいた。 「信じられない」 考えると言いながら、実は眠っていたことに気づくのは予約のお客が帰った後だった。 「あのう、お店、終わったんで帰っていただけますか?」  もう一度、強い口調で声をかけると、一瞬ガクっと大きく首を揺らして彼が顔を上げた。 「あ――、すまない。最近、眠る時間がなくて」  じゃあ私に構わないで、さっさと帰って寝ればいいのに。 「今、お店に貴方と二人きりなので、一度店を出てくれませんか?」 「なんで?」  眠そうに前髪を掻き上げて、立ちあがろうとした彼に、私は良い慣れた言葉を投げかけた 「怖いからです。――貴方なら分かるんじゃないですか?」  眠そうだった目は、急に大きく見開いた。  そして私をゆっくりと見る。 「私、貴方がこれ以上近づいたら、失神か発狂するかもしれませんよ」 「……失神か。したね、あの時」 立ち上がって少し考えてから、彼は私の目をじっと見て、首を傾げた。 「さっき言ったけど、俺と結婚してほしい」
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