一、過去系両想い

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 白鳥さんが探るように私を横目で見る。  きっとこれは、彼が来たことを気づいたに違いない。 「いえ。……とくには」 もう店には来ないというのだから、大丈夫。 バンカーが何度も雨を払っても、視界がすぐに遮られてしまう夜だった。 まるで今の私の、狭くて小さい思考のよう。 雷が何度もなるので、ヘッドフォンをつけ歌を口ずさみながら、雷の存在を頭の中から追い出した。 彼が何をしようとしているのか、雷から逃げるかの如く彼から逃げていた私には知る由もなし。 ただ――雨の夜が明けると、母が家に尋ねてきた。
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