一、過去系両想い

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 安い言葉で乾いた心に亀裂が入る。憎くなかったし、昔のことはもう何も思っていなかった。街中ですれ違っても、きっと私は気づかなかった。  でも今は違う。この人が憎い。嫌い。大嫌い。 「今更だけど、俺、華怜さんが当時、好きだったんだ。だから、再会してその気持ちが燃えたってわけじゃない。今もまた君に惹かれていると思ってほしい」 「そうですか」  昔の贖罪じゃないと言いたいのだろうが、私にはどうしても彼の気持ちを知りたいと思えない。 当時、きっと私も貴方が好きでした。 そんな言葉言えない。私たちは過去系両想い、現在進行形ですれ違っている。 ただそれだけ。
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