もっと広い世界へ

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「もう何も思い残すことはない」 君は晴れやかな笑顔でそう言った。 その表情と言葉には嘘がないことがわかる。 君は嘘をつくのが一番嫌いだったから。 「楽しいことも嬉しかったこともたくさんあったし、もちろん辛かったことも、苦しかったこともあったよ。 でも今ではそれも良い思い出になったの。 私は良い意味で変われた」 新しい未来のために違う道を行く。 もっと広い世界を知るために。 だけど、離れるのは寂しいし、辛い。 どうしても受け入れられない自分がいた。 「寂しい」 「まだやれることがあるかもしれない」 「もう少しだけいてほしい」 気づけば引き留める言葉ばかり口にして引き延ばそうとしていた。
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