おまえもホワイトデーにしてやろうか?

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 とある大学の構内にある、カフェのように洒落た学食の一角……。 「――さあて、ホワイトデーだし、誰からはじめよっかなあ~。でも、今日中に全員は無理か……とりあえず一日一人とデートで、しばらくは豪華なディナーが楽しめそう」  独り、丸テーブルに腰掛ける、ブランドもので着飾った美形女子大生が、にやにやスマホを弄りながら誰に言うともなく呟いていた。  その画面には、昨今、皆が連絡ツールとして使うロサンゼルス発のSNS「L.A.in」の連絡先リストが映っている。  だが、一つ違和感を覚えるのは、そこに並んでいるのが男のものばかりだということだ。 「どれにしようかな~天の神さまの言うとおり~……いや、うっかり二度送信とかガチにマズいし、ここはあいうえお順でいくか」  彼女は愉しそうに独り言を口にしながら、そのリストの一番上にある「あっくん」という人物のアイコンをタップする。  そのリストに居並ぶ男達は、すべて彼女が今、同時並行で付き合っている者達である。  二股どころか三股、四股…いや、すでに十股を超え、浮気性のお笑い芸人も真っ青な勢いである。  彼女はコンパといえばどこへでも顔を出すいわゆる〝合コンクィーン〟であり、そこで自分好みの男を見つけては生来の美貌と男を手玉にとる小悪魔テクニックでまんまと篭絡し、そうやって次々に〝メンズ〟と呼ぶカレシの一人に加えていっているのである。  いや、それでもまだ、彼女が無類の男好きであるとか、男に癒してもらわなくては生きていけない性格の女であるとかならばまだいい……。  だが、彼女にとって男達は、お金や労力を自分に提供してくれる奴隷のような存在に過ぎない。  彼女はこの〝メンズ〟達を便利な道具としか見ていないのである。  そう……コロっと騙される哀れな男達には酷な告発であるが、彼女はその美しい外見やカワイらしい言動とは裏腹に、なんとも救いがたき心の汚れた、最低最悪のゲス女なのである!  無論、神はそのような者を許してはおかない………。
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