エリス降臨!

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「神界の力を取り戻すには愛のパワーが足りないの。この神殿を見たらわかるでしょう? すでに崩壊が始まっているわ。昨日もほら、そこの……柱が一本崩れてしまったわ」  本来神殿と呼ばれるものは人間が作りだしたものだが、それらは神界にすべて反映されていた。それも愛のパワーのなせる業のひとつである。それが弱まった時、この神殿もまた力を無くし、崩れゆくのだ。 「エリス。あなたにお願いがあるの。とってもとっても重要な事なの」  アフロディーテは長い金髪をなびかせて、エリスの元にふわりと近寄り、その手を取った。すべての動作が滑らかで優雅だ。 「エリス、あなたには現界へ行ってもらい、愛の結晶を集めて来てほしいの」 「愛の結晶?」 「そう、愛の結晶。あなたがそれを集める事によって、この神界は救われるのよ」 「現界ってニンゲンが居る所?」 「そうよ、エリス。とっても怖いかも知れないけど、人間があなたに危害を加える事は出来ないわ。人間と私たちとではとっても格が違うもの」 「そう? 面白そうだからいいよっ。あたし行く!」 「とってもとっても頼もしいわエリス。この世界の未来はあなたに懸っているの。お願いしますね」 「おっけー! ママ」  かくしてエリスは神界の危機を救うべく、現界へと降り立つのであった。  地球の日本の都心部に降臨したエリスは、愛野(あいの)エリスと名乗る事にした。     
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