愛を運ぶもの

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 駅ビルのショッピングモールへ向かう事に決めたが、アテナがラブコン(LSCC)を出すようにエリスに求めた。 「どうするの? アテナ」  なにやらいじっている。 「はい。これでちょっとの反応くらいじゃ鳴らなくなったよー、感度下げたからー」  人が密集している場所へ行く事への対処だった。街には大なり小なり愛も溢れている事だろう。 「そんな事も出来るのね。すごいねーアテナは」 「いやいやエリスちゃん。持ち主が知っててよー。取説読もうよー」  使っているうちに慣れるだろうと、エリスはアテナの言葉も右から左だ。      外には相変わらず大家の桐生一子が、竹箒を手にアパートの前を掃いていた。足元には特にゴミが落ちているでもなく、いったい何を掃いているのか謎だ。   「おやエリスちゃんとアテナちゃん。おでかけ?」 「うん。パンツ買いに」  桐生一子のサングラスがキラリと光る。 「エリスちゃん。アンタこないだより受難の相が深くなってるわよ」 「えーそうなの?」 「しかもやっぱり駅の方角ね。先日強盗事件もあったばかりだし、そっちに行っちゃ駄目よ?」 「うん、わかったー。気を付けるねー」  そして二人は駅前に向かう。アテナもエリス同様、駅に向かう事になんの躊躇いもない。     
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