愛を運ぶもの

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 格の違いがそうさせるのだろうか。人間の言葉に耳を貸すという事は、この二人には無いのかも知れない。    いつかの強盗事件の銀行の前まで歩いて来た二人は、気付きもせずに通り過ぎたが、その銀行は事件のあった日から今日までずっと、閉店状態だった。  強盗全員が原因不明の死を遂げたこの事件はいまだに解決を見ず、現場から消えた関係者と思われる二人組の男性(・・・)の行方を追っている。銀行は開店の目途も立っていない。  この事はもちろん、現界専門家(スペシャリスト)たちによる記憶操作が働いている。 「なんだかいつにもまして賑やかね。アテナ」  見れば駅前の街路樹すべてに、イルミネーション用に飾り付けが施されており、ショップから流れる音楽もなにやら楽しげで軽快なテンポのものが聞こえてくる。至る所でデコレーションされた街の風景の色は、赤と白と緑だけで覆われたように変貌し、道行く人もどこか浮かれている様子だ。 「えっと、今日がクリスマスイブで、明日がクリスマス……って書いてあるよーエリスちゃん」  アテナがいつの間にか取り出した現界専門家(スペシャリスト)によるアドバイス帳を見ている。 「クリスマス?」「うん。神の子の誕生を祝うお祭りらしいよ? どこの神だろうねー」 「あたしらの他に神の子が現界に居るの?」     
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