11人が本棚に入れています
本棚に追加
「私たちと違って人間らしいよー? 人間として生まれた神の子? みたいな?」
「どうせゼウスあたりがまた浮気したんでしょ? どんだけ子供作るのよね」
「いやいやエリスちゃん。人のパパ悪く言うのやめてー。いやその通りなんだけどー」
その時、エリスのコンパクトがぶぶぶと震えた。マナーモードだ。
「なあに? ママ」
「エリス、とってもとっても緊急事態ですわ」
開いたコンパクトに映る母アフロディーテの柔らかな表情と声が、まるで切迫した様子に思わせない。
「どうしたの?」
「よく聞いてちょうだい、エリス。現界専門家たちの情報によると、とっても巨大な『愛』がそちらに移動しているようなのです」
「巨大な愛? そっちってどっち?」
「どうやらそれはエリスを目指しているようですわ。つまり神の子が……あ、たった今入った情報によりますと……」
コンパクトの画面にチラリと映る、A四サイズ程の用紙を差し出す手。アフロディーテはそれを受け取り、ニュース番組の女性アナウンサーよろしく最新情報を伝える。
「移動中の『愛』の分析結果が出たようです。どうやら神界を救うだけのパワーがそのひとつに籠められているようですわ。とってもとっても、おっきぃ……のですわ」
最初のコメントを投稿しよう!