天使の弓

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天使の弓

「……暇ね」 「いやいやエリスちゃん。暇じゃないよー忙しいよー。エリスちゃんも手伝ってよー」  エリスの六畳間でアテナは、引っ越しのダンボール箱の中身をせっせと仕分けしていた。  当のエリスはというと窓辺に寄り掛かり、物憂げな表情でアンニュイ女子を決め込んでいた。 「アテナもあたしに付き合う事なかったのに。学校行きたかったんじゃないの?」 「私はエリスちゃんのサポート役だよー。エリスちゃんが学校行かないなら私も行かないよー」  二人は登校二日目にしてサボっていた。昨日と同じ時間に迎えに来たアテナに対してエリスは、断固として登校を拒んだ。昨日の今日であの教室に行きたくなかったのだ。 「あたし、結晶集めは学校以外でやろうと思うの」 「そうなのー?」 「だって毎日同じニンゲンと顔合わせて、毎日あたしの裸見せなきゃならなかったら嫌じゃない? 向こうは忘れていても、私はこの人に裸を見られたっていう記憶が残ってるのよ?」 「そんな毎日はないんじゃないかなあ? でもエリスちゃんがそうしたいなら私は反対しないよー。どこで集めても同じだしねー」     
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