となりの友活

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となりの友活

先に言っておくと、私はオタクだ。 ただし隠れオタク。三十うん歳にもなってオタクだと公言するのははばかられ、つい一般人に擬態してしまったが最後。 オタク友だちという宝物を得られずにいた。 趣味は一人でだって楽しい。けれど共有できる友だちがいればもっと楽しいだろうな、なんて思っていた矢先に事件は起きた。 仕事終わり、電車の座席でぼんやりと揺られていたときのこと。 渋谷駅で乗り込んできた乗客の中に彼はいた。 今どき珍しいモヒカンで、さらに色が緑。服も全身レザーのスタッズ付きに鼻ピアスという、なかなかに攻撃力の高そうな出で立ちだ。 その上ギターを背負っている。ああこの人、ロックバンドのギタリストに違いないという様相だった。 その男は車内をくるっと見回し、空いていた私の席に向かってきた。 切れ長のつり目が放つ眼光は鋭く、ただ隣に座られるというだけでものすごい圧がある。 (うわあ…。隣、来ちゃった。) ちら、と横目に確認すると、彼は席に着くなりスマートフォンでSNSを開き、ざっとスクロールしながらタイムラインを見始めた。 「…!」 (人のスマホを覗き見するなんて良くない、良くないんだけど)     
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