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突き当たりのドアを、ゆっくりと横にスライドさせた。 暗がりの中、テレビの画面だけが明るく光っていた。 誰もいないのか? すると奥で何かが、もそっと動いた。 僕は鼓動が早まるのを感じながら、ゆっくりと壁のスイッチを点けた。 部屋の雰囲気は、僕の部屋と似ていた。 テーブルの奥に、布団が敷かれている。 そしてその捻れた掛け布団が、少しもそもそと動いているのだ。 何かが中にいるのだ! 僕は恐る恐る近づいた。 「だ、誰かいるんですか…」 僕がゆっくりと、布団に手を伸ばそうとした時… 耳元で、ブーンと音がした。 見ると右手の甲に、蝿が止まっていた。 いや、それどころか沢山の蝿が、部屋中を飛び回っていたのだ。 「え、え?何だよこれ」 僕が手で叩く拍子に、掛け布団が少しズレた。
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