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マンションの玄関前には、パトカーと救急車が停まっていた。 薄いコートを着た女性は、何事かと思いながらエレベーターに乗った。 そして三階でエレベーターを降りると、何やら騒々しく人が動いている。 女性は眉をひそめながら、三◯三号室の前で立ち止まった。 「あのう、すみません。この部屋の方ですか?」と年配の男性が、警察手帳を出してきた。 「はい。あのう何か?」 「昨日は部屋に、ご在宅でしたか?」と警察は、突然質問してきた。 「いえ。自宅は別にありまして。ここは仕事用で借りていますので、二ヶ月程留守にしておりました」 「失礼ですが、お仕事は何を?」 「フリーのルポライターですが」と女性は、名刺を差し出した。
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