三◯三号室

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僕は今年の春、大学を卒業してごく普通の商社に就職が決まった。大学を卒業するまで田舎暮らしであったが、仕事場が都心に近かった為、一人暮らしを始める事となった。

初めてという事もあり、築年数は古いが家賃が手頃なマンションに決めた。

ワンフロアが五世帯住める五階建てで、二十五世帯が入れるマンションだった。

紹介してくれた不動産屋は「空き部屋が最後の一つでして、あなたはラッキーでしたよ」と、やたらと人気物件だと強調していた。

僕は三階の、三◯四号室に入居した。

まあ確かに外観は古いが、入ってみると内装は綺麗にリフォームされている。
満更、不動産屋が言うのもオーバーではなさそうだった。

そして早速、三階の方に引越しの挨拶をと、地元で有名な茶菓子を配った。