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僕は慌てて、蒸しパンを二つに割った。 その途端、沢山の蝿が部屋中を飛び回ったのだ。 「うわあっ!」 僕は急いで、裏のベランダの扉を開けて、蝿どもを追い払った。 そして蒸しパンをビニール袋に詰めて、ぐるぐる巻きにしてゴミ箱に捨てた。 「何なんだよ一体?こんな物、食べさせようとしたのかよ!」僕はなんだか腹が立ってきて、思わず隣の部屋のドアを叩いた。 「ちょっと!すみません。三◯四号室の者ですけど!いらっしゃいますか?」 しかし、何も反応はなかった。 くっそっ! 仕方なく部屋に戻り、腹の虫が治まるのを待つしかなかったのである。 二日後の朝、僕は出がけに三◯一号室の男性と会釈した。かなり年配のお爺さんで、一人暮らしと聞いている。 僕はついでに、三◯三号室について訊ねてみた。 「ああ、三◯三号室の人ね。確か、年配の女性じゃあなかったかな?」とお爺さんは応えた。 「え、年配の女性ですか?」 僕はつい声を上げた。
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