60人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
1
烏団は早速次なる計画の準備に取り掛かった。
やるべき事はいくつかある。計画に必要な乗り物の手配、水没した電磁バリア発生装置の動作テスト、収録した映像の解析、シナリオに沿った動きの練習──これは運動会の予行練習みたいなものだ。
これだけ組織だった町の仕組みや、個々の戦闘能力の高さ、神馬一族の霊力を考えると、チャンスは一度きりだと思った方がいい、烏親方はそう考えていた。
幸いなことに六人は超影が薄い存在だ、あの混乱の渦中にいながら、誰一人として存在に気がつく者がいなかった。
神馬一族の霊力を持ってでさえ気が付けなかったという事実は、計画さえ滞りなく進行すれば、遺伝子を頂く事はそう難しい事ではないと物語っている。
もう親方ちゃん、ウキウキしっぱなしでとっとかとっとか、てってかてってか…酒田と構成員達に指示を出し、自分は収録したももとさくらの映像に見入っていたー!
『奇襲作戦──ももとさくらの髪の毛頂戴作戦』は秘密裏に、というか、誰にも全く気が付かれずに準備が進められていた、が、烏親方の予期していなかった出来事が一つある、それは佐々木健、けんじいちゃんの存在だ。
町の四賢人の一人として、けんじいちゃんがいる事など知る由もなかったのである。
最初のコメントを投稿しよう!