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もうすぐクリスマスがやってくる。街はイルミネーションで溢れ、ジングルベルが鳴り響く、家電量販店の前で、私は彼と待ち合わせをした。
午後六時。
今日はとても冷えて、ファーコートを着て来たのに、外で待っているとブーツを履いていても、凍えそうになる。かじかんだ手をはぁ、と息を吐いて温める。
待ち合わせの時間より、五分遅れて彼が到着した。
彼は黒いモッズコートを着て、マフラーをしっかり巻いて、ちゃんと防寒をしていた。彼が私を見つけると、
「待った? ごめんな」
言って、両手を合わせて私に謝ってきた。
私は「いいよ。お店予約してあるから、急ごう」と言って、彼の手を握った。すると彼もしっかり私の手を握り返してくれて、私は素直に嬉しかった。
それから、駅前にあるタワービルの中の、イタリアンのレストランに入った。
そこは地上十三階から見渡せる、ガラス張りのお店で、予約をした席は、街を一望できる、夜景が綺麗に見える場所だった。
「綺麗!」
私ははしゃいで、オーダーもせず、夜景の写真を撮った。写真を撮ると彼に見せた。
「ね? 綺麗でしょ! やっぱりいいお店だった! 流石レビュー☆五つのお店だったよ!」
言って、笑うと、彼は呆れた顔で笑いながら、
「そんなことより、何食うの?」
と、私にメニューを渡してきた。私は、イタリアンがすごく好きで、バーニャカウダー、イベリコ豚の生ハム、マルゲリータを注文した。
イタリアンの定番の料理だからこそ、その店の味がよくわかる。
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