どうしてもダメ?

3/5
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 もうすぐクリスマスがやってくる。街はイルミネーションで溢れ、ジングルベルが鳴り響く、家電量販店の前で、私は彼と待ち合わせをした。  午後六時。  今日はとても冷えて、ファーコートを着て来たのに、外で待っているとブーツを履いていても、凍えそうになる。かじかんだ手をはぁ、と息を吐いて温める。  待ち合わせの時間より、五分遅れて彼が到着した。  彼は黒いモッズコートを着て、マフラーをしっかり巻いて、ちゃんと防寒をしていた。彼が私を見つけると、 「待った? ごめんな」  言って、両手を合わせて私に謝ってきた。  私は「いいよ。お店予約してあるから、急ごう」と言って、彼の手を握った。すると彼もしっかり私の手を握り返してくれて、私は素直に嬉しかった。  それから、駅前にあるタワービルの中の、イタリアンのレストランに入った。  そこは地上十三階から見渡せる、ガラス張りのお店で、予約をした席は、街を一望できる、夜景が綺麗に見える場所だった。 「綺麗!」  私ははしゃいで、オーダーもせず、夜景の写真を撮った。写真を撮ると彼に見せた。 「ね? 綺麗でしょ! やっぱりいいお店だった! 流石レビュー☆五つのお店だったよ!」  言って、笑うと、彼は呆れた顔で笑いながら、 「そんなことより、何食うの?」  と、私にメニューを渡してきた。私は、イタリアンがすごく好きで、バーニャカウダー、イベリコ豚の生ハム、マルゲリータを注文した。  イタリアンの定番の料理だからこそ、その店の味がよくわかる。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!