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タワービルを降りると、そこには、大きなクリスマスツリーのモニュメントが飾られていた。
沢山の恋人たちが、そのツリーの前で写真を撮っている。
私もそのツリーの煌びやかさに、うっとりとするも、どうせ彼とは撮れないのは分かっていたから、彼に私のスマホを渡して、
「これで、私とツリー撮ってくれない?」
言うと、彼は私のスマホを取ろうとした瞬間。私の腕を思い切り引っ張って、私を公衆の面前で強く抱きしめた。
私は何が起こったのかすぐに把握できなかったけど、彼のコートにうずくまると、彼はゆっくり私を離して、ポケットから小さな箱を取り出した。
「写真はお前がウエディングドレスを着ていて、俺がタキシードを着ているときにしろよ」
どこか照れながら彼は言うと、私の手の平にその箱を置いた。中を開けると、そこには、ダイヤがひとつ付いた、指輪が入っていた。
「俺と結婚してくれ」
彼は私の目をしっかりと見つめて言った。私はそれを聞いたら涙が溢れてきて、
「はい。お願いします」
そうして私はまた彼の胸に沈んだ。
その後、私たちはクリスマスに入籍した。しばらくして結婚式を行い、プロのカメラマンが私たちの晴れ姿を写真に収めてくれた。
彼と撮った初めての写真は、彼はとても柔和な顔で写っていた。
「これからはどんどん記念写真を増やしていこう」
彼はそう私と約束してくれた。私にとって写真は、もう思い出を撮るだけでなく、私たちの人生そのものを映すものへと変わった。
<終わり>
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