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10 徐々に俺に対する反応が変わってきたのは、そんなモーションをかけ始めて1ヶ月後くらいだったかな。 飲み会帰り、駅まで歩く途中。 「ね、昨日彼女と会ったんスよね?」 飲み会で佐野先輩の彼女の話になったのを思い出す。 「会ったけど…」 「ふーん。妬きます、純粋に。」 「お前…っ、」 「蒼、です。ちゃんと名前呼んで?」 「本当好きだよな、名前呼ばれんの。」 俺は自分の名前が大好きだ。 俺の好きになった人が、名前を呼びながら俺を求めることに優越感を覚えるから。 「気に入ってるんで。佐野さんと同じくらいには。」 そして少し、頬に触れる。 本当は今すぐ抱きしめて離したくないくらいだけど。 「…っ、不意打ちやめろ。ちょーし狂う。」 「狂ってください。もっと俺だけに。」 こういう時は、目を見て逸らさない。 「…マジでなんなの。蒼、いつもそんなんで落としてんだろ…っ」 暗くてもわかるほど顔を真っ赤にした佐野先輩の隣で、いつもより近い距離に胸がうるさかった記憶がある。 そして一気に距離が縮まった冬休みの最終日。 あの時のことは、今でも鮮明に覚えている。
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