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それから孝太の行動は早かった。
『会おう。』
次の日、午後の講義が終わった後に一言送られてきたメッセージ。
そしてその日の夜、孝太の家に行くことになった。
待ち合わせの駅ですでに彼は待っていて、駆け足で近づく。
「佐野さんっ。」
「おぅ。とりあえず家向かうぞ。」
目は合わせてくれなくて、先を歩かれる。
「ちょっと…っ、」
その腕を引き止めて一度きちんと目を合わせる。
「ね、佐野さん?家誘うって、意味わかってる?俺、あんたのこと好きなんスよ?」
ここで保険をかけておかないと、俺は絶対に抑えられない自信があったから。
「俺だってバカじゃねーよ。だけどちゃんと話したいんだ。」
合った目には、濁りはなかった。
その後は黙って10分ほど歩いたところに、彼の住むアパートがあった。
「入んな?」
「おじゃまします。」
初めて来る孝太の家、らしくもなく緊張してたっけな。
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