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本当は二人きりになった瞬間飛びつきたかったけど、我慢して指定された二人掛けのソファーに座る。
「蒼。」
そして俺の目の前に正座した孝太。
なんで正座だよ、なんて笑えてきたけど。
「ん、どしたの?」
「蒼。」
もう一度名前を呼ばれて。
なんだか胸がくすぐったくなった。
「なんスか。」
「好きだよ、蒼。」
「…っ。」
俺が、ずっと欲しかった言葉。
「彼女と別れた。だけど勘違いしないでほしい。お前のためじゃないよ?
それはそれで俺ら二人の問題だったから。」
「はい。」
「別れてすぐなんてズルいだろうけど、俺も蒼が欲しくなったんだ。」
「…ほんと?」
「ほんと。蒼、付き合おっか。」
どうしよ、俺すごい幸せだと実感した日。
こんなに本気で人を好きになったのは、孝太が初めてだった。
ーーーあの時は、今よりもまだ心が澄んでいたと思う。
人を疑うことも、好きな故に苦しむことも何も知らなかったから。
いいことも悪いことも、最初にくれたのは孝太だったんだよ?
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