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293 それからリビングのソファで座って、ボーッとしてたんだっけな… 夜になっても、電気もつけないで 膝を抱えて震えてたんだ。 飛び出して家に確認に行くこともできた。 今朝まで一緒にいたんだから、きっと家に帰っただけなんだって思いたかった。 だけどそれでもいなかったらと思うと… いないなんて、信じたくなかった。 ……だけどそれ以上に、どこかでわかっていたような気がして 本当のことを知るのが怖かったんだ。 「ただいまー!」 ガチャ、と音がして翔太が帰ってきた。 「え!?蒼!?」 電気を付けるなり俺がソファに座っていたことに驚く翔太。 「え、寒くない!?ストーブつけなよー。何やってんの、蒼ーーーーー」 「…っ、」 こいつは、いつも通りなのに。 「…蒼?」 頬に伸びる手は暖かいのに。 「どうしたの、蒼?」 名前を呼ぶ声は優しいのに。 「…どうして…っ!」 どうして、冷たい指と凍りそうな語尾を思い出して、こんなにも心が痛いんだろう。
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