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それからリビングのソファで座って、ボーッとしてたんだっけな…
夜になっても、電気もつけないで
膝を抱えて震えてたんだ。
飛び出して家に確認に行くこともできた。
今朝まで一緒にいたんだから、きっと家に帰っただけなんだって思いたかった。
だけどそれでもいなかったらと思うと…
いないなんて、信じたくなかった。
……だけどそれ以上に、どこかでわかっていたような気がして
本当のことを知るのが怖かったんだ。
「ただいまー!」
ガチャ、と音がして翔太が帰ってきた。
「え!?蒼!?」
電気を付けるなり俺がソファに座っていたことに驚く翔太。
「え、寒くない!?ストーブつけなよー。何やってんの、蒼ーーーーー」
「…っ、」
こいつは、いつも通りなのに。
「…蒼?」
頬に伸びる手は暖かいのに。
「どうしたの、蒼?」
名前を呼ぶ声は優しいのに。
「…どうして…っ!」
どうして、冷たい指と凍りそうな語尾を思い出して、こんなにも心が痛いんだろう。
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