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それから狂ったように泣き続けて、それでも何も言わずにずっと俺のそばで暖かい手で背中をさすってくれた翔太。
少し落ち着いた時に、ポツリと話し始めた。
「昨日さ、」
そう切り出して、次の言葉が出てくるまではどのくらいの時間が経ったんだろうか。
「昨日、蒼が寝た時ね?
“彼”はこう言ってたよ。」
ーーーーー
『こんなに人に深入りするつもりはなかったんだけどな。
蒼は人を惹き寄せるチカラがあるよね、翔太もそう思わない?』
「…そうだね。」
『ねぇだけどさ?蒼も、翔太みたいな人がいたらきっと一人で生きていくことなんて一生ないんだろうね?』
「…は?」
『翔太がいれば、安心だよ。』
「…それって、どう言う意味?」
『そのままの意味だよ。』
「俺がいれば蒼は安心だねって、そうだとしたら透はどうなるの?」
ーーーーー
そこで、俺が起きたと。
「ごめんね、もっと俺が突き詰めてれば…、」
そう言って、何も言わない俺を優しく抱きしめた。
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