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295 それから半年、俺らの暗黙のルールで “透”の話はしなくなった。 名前を出すことも、話題が出ることもなくなった。 …まるで、最初からいなかったかのように。 思うことはたくさんあった。 あの時の、あの瞬間の、俺に対するものは嘘だったんだろうか。 好きだとか離さないとか 手を伸ばしたのは俺だ、って笑う顔とか 全てが偽りだったんだろうか。 何度考えても答えは出ないけど 問い詰めたいとか追いかけたいとか そんな気持ちはなかった。 結局全てが自分の独りよがりだったんだと思うと、自然と少し楽になった。 …だから嫌だったんだ。 他人からの“好意”なんて嫌いだ。 受け取らない、受け取りたくない。 自分から好きになってたら もっともっと気持ちが軽かったのに。 こんなに重い荷物、残していかないでよ…。 だったら 手なんて取らないでよ…
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