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297 「蒼、今日はハンバーグ作るよ。」 それからまた更に半年が経って 「肉はーー」 「豚ひき肉だよ?」 あの寒い季節がやってくる。 「付け合わせはーーー」 「ローストしたブロッコリーと甘めの人参のグラッセ。」 あの頃と変わらないのは、翔太だけ。 「あーじゃがいもは?」 「マッシュポテトね、作るからそんな暗い顔しないで?」 暗い顔、か。 あの日、はるに抱かれて透に出会った日から 一年が経った。 「ん。翔太、」 「うん?」 もうずっと心にフィルターがかかったみたいで 誰も信用なんてできない。 「ありがとう、な。」 「…なに、急に…っ!」 だけど、翔太だけはーーー 俺の手を振りほどいたりしない。
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