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「ごめん、一人にして。」
バタン、と音が聞こえてはるが出ていったのがわかった。
一ヶ月前に出会ってから、コイツの色んな事を知った。
雰囲気に流されやすいことも
すぐに顔を赤くすることも
可愛いくせに男らしいことも
寂しがりやなことも
そして…
恋人がいることも。
知ってたんだ。
今回のことだって、喧嘩中の恋人の代わりだってわかってた。
その恋人が俺の大学時代の先輩、智希だと知った時には
もうすでに勝てない試合だとわかっていたのかもしれない。
だけどもしかしたらーーー
最後の望みをかけたつもりだった。
ごめん、と言いながらも抱き続けるはるの葛藤は
俺にも痛いほど伝わってきて…
彼を責めることはできなかったんだ。
若さゆえの性欲、それによる過ちを
俺は何度も踏んできたから。
だから、大丈夫。
今回のこともなかった事にできる。
こんなことで嫌いになったりしないよ?
まだ、こんなに好きなんだから。
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