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5 「はるを送ってやって。」 要件は、それだけ。 「蒼…。一人で待てる?」 「…。送ったら、お前は仕事戻れ。」 一瞬心配そうな顔をして、すぐに微笑まれる。 「うん、わかったよ。」 ベッドサイドに腰を掛けながら頭を撫でて、俺の頬にある涙の跡を拭う。 数秒そうして、部屋から出て行こうと立つ翔太の腕を俺が引き止める。 「翔太。今日、仕事終わったらすぐ帰ってこい。 その頃には俺…一人が嫌んなってる頃だと思うから。」 手を引いた勢いでもう一度ベッドに腰掛けて、今度は抱きしめられる。 「ん、わかった。すぐ帰ってくるよ。一緒においしいもの食べよ?」 「当たり前。遅くなったら許さないから。」 努力します、と。 そして最後にもう一度頭を撫でて部屋を去って行く。 …本当に、翔太にはお世話になりっぱなしだな。 付き合いは小学生の頃からだけど、大学に入ってからルームシェアを始めて、社会人になった今でも一緒に暮らしている。 いつからだっただろうか… 翔太はたぶん俺のことが好きだと思う。 てゆーか嫌でも気づく。 だけど…、ごめん。俺は自分から好きになった人じゃないとダメなんだ。 だからきっと翔太の気持ちには応えられない。 現状維持、それを選んだのは俺ら二人だろ?
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