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大学一年の時の冬休み、俺は初めて男を好きになった。
同じスノーボードサークルの二つ上の先輩を。
中高とそれなりにモテていたし、女に困ることはなくても自分から近寄ってくるような女を一度も好きになったことはなかった。
いつも俺から。
そいつが誰かと付き合ってようが最終的にはみんな俺を好きになった。
だから女を落とすような言い回しや態度はめちゃくちゃ得意。
そんな時に、よりによって彼女がいる二つ上の先輩を好きになったんだ。
同性を好きになったことはなかったけど、なぜだか彼は俺の目を引いて離さなかった。
仕草や表情一つ一つが俺のものになればいいのに、なんて思って止まなかったんだ。
どちらかというと、女にモテるというよりは
男女共に友達の絶えないやつだった。
いつも笑っていて、この人がいるだけで空気が明るくなるような
だけどどこかミステリアスな雰囲気が俺を魅了した。
みんな友達、だけど一線は確実にあって
人を寄せ付けるようで寄せ付けないような人。
この人の裏の顔が見たい、それと同時に彼と一緒にいる彼女に対しての嫉妬が日に日に増していった。
彼女だけが彼のテリトリーにいるような
その感覚が妬ましくてひどく羨ましかったんだと思う。
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