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男に対して、正直どうモーションをかけていいのかわからなかった。
だから直球勝負。
「あなたが欲しいです。」
好きだと自覚して間もなく、彼をサークルの狭い物置部屋に呼び出した。
「蒼ー。なーに言ってんの?どした、何が欲しいの?」
きっと何を言っているのか伝わらなかったんだと思う。
「…んっ!?」
次の瞬間、俺より少し身長の低い彼の頭を取ってキスをしていた。
「こういう意味です。佐野先輩が欲しいです。」
初めての男とのキス。
悪くなかったのを覚えている。
「ん、わかった。おいで、蒼。」
「ん…、?はっ…ふぁ、ん…ぁ、え…?」
気づけば彼の腕が首に巻きついて、二度目のキス。
「んー。悪くない。可愛いーじゃん、蒼?」
そう言って俺の唇を親指でなぞったんだ。
「…っ。佐野、さん…っ」
それすらにも興奮するほどには、好きだったと思う。
「でもごめんね?俺彼女いるから。ありがとうね。」
サラッと流されて、部屋を出て行く佐野さん。
「んだよ…っ」
さっきのは、なんのキスだったんだろう。
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