とあるバーにて

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 今日はまだ木曜日。あと一日仕事が残っている。  俺は、残業をして、やっと帰れると思ったとき、ふと酒が飲みたくなった。  職場の近くには夜になると、おしゃれなバーや、居酒屋が並んでいる。そのいつも気になっていたバーを覗いてみようと、俺はそこの店に向かった。  現在、午後十時を超えたところだ。  このバーは入り口を入ると、地下へ繋がっている。その入り口に看板が立ててあり、外壁が白色で、照明が小さな赤色の電球が点いている。なかなかおしゃれな外観で、こういうバーで飲むのは、きっと気持ちがいいものだろうな、と俺はそのバーに入ることを決めた。  中に入ると、ボトルがずらりと並べられていて、カウンターかL字に大きく横に広がっていた。ボックス席もあるようで、すでに、ボックス席は満席になっていた。  俺はカウンターに座ると、シャツにベストを着た若いバーテンダーさんが、 「いらっしゃいませ」  と、笑顔で声を掛けてくれた。  店内も、薄い照明の光がほのかに光っているだけで、ジャズが流れる店だった。  椅子も座り心地が良い。  そのバーテンダーさんに俺は、 「あ、バーボンロックで」  と注文をすると、「かしこまりました」と、ロックグラスに丸氷を入れて、メーカーズマークを注いでくれた。  俺の前に店の屋号が書かれた紙のコースターを敷くと、その上に冷えたグラスを置いてくれた。それを俺はゆっくり右手でグラスを持って、時計回りに軽く回す。  それから口に含むと、メーカーズマークの喉ごしの良さが、喉を通って胃まで辿りつくと、かっと胃が熱くなる。それがまた良い。
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