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幸せな時間
狐の化身は宮司見習いとして、美しい巫女に声をかけた。
「こんにちは。貴女はここの新しい巫女様ですか?」
心臓バグバグだった。
「あら、こんにちは。こんな素敵な宮司見習いさんが要るなんて知らなかったわ。
私は、今日からはお勤めする巫女の皇子(みこ)。
ふざけているみたいだけど本当の名前よ。宜しくね。」
皇子様か。
少しの間だけど
出来るだけ側に行こう。
「僕は正明(せいめい)。
こちらこそ宜しくお願いします!」
元気に皇子に挨拶をした。
そのあとが、ちょっとトラブルがあった。
本物の宮司に見習いなんていない...等と言われ、
言い訳しながら術をかけるのが一仕事だった。
そして、晴れて僕は
宮司の見習いになっのだった。
見習いなので、掃除とかやらされたが
僕は頑張った。
巫女と一緒におみくじをつくったり
お守りを作ったり...
そんな楽しい時間がとれるのだから。
いつも笑顔の僕に
巫女の皇子は
「何故、何時も笑顔でいられるの?
お仕事辛くない?」
そう聞かれて
「僕は巫女様のお手伝いが出来て
幸せなのです。」
そう、答えた。
毎日が幸せだった。
巫女の側で仕事ができることが。
巫女と御払いの手伝いをしたり
結婚式の裏方で巫女を支えたり。
とても幸せな時間が流れ
このままずっと巫女の側にいたいと思っていた。
しかし、それは許されることではなかった。
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