来世で君にまた会いたい

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幼稚園の頃から知り合いだった、ひとりの友人が亡くなったという知らせを受けた。 彼は幼い頃から病気がちだったせいか、薄幸そうな見た目で、どこか放っておけなかった。 内向的で、飽きることなく植物図鑑を読んでいた彼は、外で遊ぶのが好きだった自分とは正反対の性格だったが、心優しく、困っている人がいれば自己犠牲を厭わないところや、真面目なところが好きだった。 小中高と同じ学校に通っていたため、毎朝一緒に登校していたが、大学では別々の大学に進学した。 それ以来、偶然ばったり玄関の前で会うことはあっても、一緒にどこかへ遊びに行くということはなくなってしまった。 こんな世の中、生きていても辛いだけ。未来に希望なんて持てない。毎日が不安で仕方がないんだ。 それが彼の口癖だった。 就職活動に行き詰まり、駅のホームから飛び降り自殺した彼の葬式の後、「律君」と後ろから自分を呼び止める声が聞こえ、後ろを振り向くと、同じ大学に通う、二歳離れた彼の姉がそこにいた。 彼女と両想いになってから、ちょうど一週間後に、彼女の弟が亡くなった。 彼女に何と声を掛ければいいものかと悩んでいると、雪のように白くて華奢な腕が自分に向かって伸びたかと思うと、自身の心臓の辺りに、一通の手紙を押しつけられ、彼女からそれを読むように促された。
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