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「ねぇあの二人付き合ってるのかな?」
「まさか。あんなの付き合えないでしょ?」
近くの座席にいるカップルがコソコソと話す声が聞こえてきた。
背の高い小谷君にはきっと聞こえていない……
弱い私はこんな声を聞くとやっぱり無理だって思ってしまう。
小谷君に惹かれる気持ちにブレーキをかけてしまう……
学校のある駅に着いて扉が開いた。
「付いて来ないで。」
「えっ…なんで?」
「小谷君と一緒にいたくないのっ!」
私は小谷君を置いて一人ホームを足早に歩いて行った。
小谷君は全然悪くないのに。
周りの目をどうしても気にしてしまう自分がすごく嫌で泣きそうになった。
「おーい大山、俺なんか悪いことした?おーいっ。」
ホントは謝りたいのに素直になれない。
小谷君と話したらブレーキが壊れちゃいそうで怖い。
付き合うのは無理だと思いながらも、付き合ってと言われるのがすごく嬉しい……
自分でもどうしたらいいのかわからなくて、小谷君が話し掛けてきても無視し続けてしまった。
「背が高い人、あるある~っ!」
小谷君も負けちゃいない。
ず────っと私に話し掛けてきた。
「下から見られるから鼻毛の手入れが不可欠っ。」
「天井からぶら下がっている扇風機が恐怖っ。」
「ベッドから出た足をなにかに引っ張られそうで落ち着かなーいっ。」
何度か笑いそうになった。
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