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背が高いデメリットをこんなに明るく笑いに変えれる小谷君て尊敬してしまう。
私は自分の背が低いデメリットをこんな風に明るくは話せない……
結局放課後までずっとこんな調子だった。
バスケ部の練習があるので小谷君は行かなければならない。
「はぁ…マジか……」
小谷君はガックリうなだれながら教室から出て行った。
小谷君に申し訳ない……
早く諦めてくれたらいいのに……
帰りの電車がホームへと入ってきた。
今日は疲れた……明日が休みで良かった。
「大山っ!」
電車に乗り込んだら誰かから名前を呼ばれた。
振り向くとホームにユニフォーム姿の小谷君が立っていた。
学校から走ってここまで追いかけて来たのだろうか…肩でぜぇぜぇ息をしていた。
「明日、駅前に10時に待ち合わせな。」
…………えっ?
「待ってるから、何時間でも。」
これはデートのお誘いなの?
ずっと二人で街を歩き回るなんて…電車の中でちょっと一緒にいただけでコソコソ言われたのに?
「……行かないよ、私は……」
「それでも待ってるから。」
「行かないから!」
「来なかったらきっぱり諦めるよ。だから……」
いつも大きな声で話す小谷君の声が、か弱いくらいに小さくなっていく……
ドアが閉まって電車が動き出した。
遠のいていく小谷君の姿が今にも消えてしまいそうで……
最後に口にしていた言葉が耳から離れない。
──────だから……お願い、来て。
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