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私が泣き止むのを待ってから小谷君は抱きしめる手を緩め、私の目線の高さまで腰をかがめた。
「大山…俺と付き合ってくれる?」
少し不安げな顔の小谷君に私はニッコリ微笑んだ。
「うん。私も…付き合いたい。」
小谷君の顔がパァっと明るく輝いた。
「……マジかっ!やったあ!!」
「ちょ、ちょっと小谷君っ!」
私の体をひょいと持ち上げて、あろうことか頭上高くでグルグルと回し始めた。
怖い怖い怖い怖いっ!!
ひとしきり回されたあとに小谷君の肩に担がれてるみたいな感じで再び抱きしめられた。
「めっちゃ嬉しい。大山好き。すっげー好き。」
私……足が地面に全然届いてないんですけど……
軽々と人形みたいにブンブン振り回され、この先付き合うのがちょっと不安になってきた。
「ほらやっぱりあの二人付き合ってるんだよ。」
「すげぇな。あの身長差で信じられねぇ。」
あれは……いつぞやの電車で会ったカップルだ。
相変わらず私達を見てコソコソと話している。
あの人達に限らず、私達が街を歩いてるとこれから何度でも聞こえてくる声だ……
私はこれに慣れることが出来るのだろうか?
今回は小谷君にもしっかり聞こえたよね……
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