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「オランダに留学なんかしてみろ。世界一背が高い国で男性平均身長が187cmだから、2m越えがわんさかいるんだぞ。ちなみに日本人男性は171cmな。」
だんだん豆知識みたいになってきた。
「俺だったら風船が木に引っかかっても、250cmくらいの高さまでなら手を伸ばせば取ってあげれるし。」
風船て……私は子供かよ。
「風よけにもなってあげれるし、寒い時は大山のこと包んであげれるよ?」
はぁ……
やっと昼休憩だ。小谷君から離れられる。
毎日よくあれだけの量をしゃべれるな……
私はクラスの友達らと一緒に売店へと向かった。
売店ではすでにたくさんの生徒が集まっていて、人気のあるパンの争奪戦になっていた。
背の低い私はもみくちゃになるからそんな戦いに参加出来るわけがなく……
いつも残ってるおこぼれに与るだけだった。
「大山なにが食べたい?」
一人壁際に避難していた私に小谷君が話し掛けてきた。
「あとで買うからいいです。」
「別にパン買ったんだから付き合えとかは言わないよ?背の高い俺をアピールしたいだけ。」
アピールされるから嫌なんじゃん。
私は小谷君を無視するようにプイッとそっぽを向いた。
「ちぇっ。今日は水曜日だから幻のソーセージパンが出てるかもしれないのに。」
ソーセージパン……
私は思わず小谷君の着ていたセーターの裾を引っ張った。
「たっ食べたい。ソーセージパンっ。」
50cm上の小谷君の顔を見上げて拝んだ。
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