彼と彼女は50cm

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朝の満員電車は苦手だ。 私が通っている学校は都会のど真ん中にあるので、通学時間は学生やらサラリーマンやらOLさんやらで激混みなのだ。 当然、背の低い私はその中に埋もれてしまう。 鞄が手を離しても浮いてるような状態の中で何十分も揺られていると、気分が悪くなってくる。 「あれっ大山じゃん。」 途中の駅で小谷君が乗り込んできた。 小谷君といると私の小ささが目立つから外では一緒にいたくはないのだけれど…… 「おはよう。いつもこの車両?」 「……うん。」 あれ?なんか急に楽になった…… 周りを見ると相変わらずのダダ混み状態…小谷君が無理して空間を作ってくれているのだと気付いた。 「これからは俺もこの車両にするよ。」 壁を抑えてる手がプルプルしてる。すっごくしんどそう…… ………なんで私なんだろう? 「小谷君て三組の七瀬さんから告白されたよね?」 「あー…されたかな。名前までは覚えてない。」 「超美人で背も高い子だよ?なんで断るの?」 私なんかよりよっぽどお似合いなのに。 「なんでって…この満員電車の中で愛の告白しまくっていいなら言うけどいい?」 「私は最初っからムリだって断ってるでしょ?なんで諦めないのかが意味わかんない。」 自分で言うのも悲しいが、私にそんなに固執する魅力があるとは思えない。
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