もう天使ではいられない 6 ほんの少し・・・

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電車がまた来たけど乗らんかった。 「オバチャ、」 言いかけてオバチャンを見てみると ウチのお母さんより若い気がする。 ただ髪は真っ白に近いけど・・・。 「おばさんはどうしてここに?  電車、乗らへんかったけど・・・  あっ、私やったら、ホンマに大丈夫」 「うん、わかってるよ。私・・・  私は・・・ここで法事、かな」 「エッ?!」 「ゴメンね、こっちこそヘンやね、ふふ」 それからオバチャンはホームの端を指して 「去年・・・あそこから・・・  ウチの息子・・・特急列車に」 「  ! ! !  」 「大学・・・落ちた日やった」 話に合わすみたいに特急通過・・・。 「滑り止めは受かってたのに  なんで京大にこだわったんか・・・  考えても、何べん考えても  まったく解らへんの・・・」 「 ・ ・ ・ 」 「ごめんねぇ、暗い話したね」 「いえ・・・そう言えば同級生も・・・」
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