もう天使ではいられない 6 ほんの少し・・・

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「いややわあ、私・・・  ヨソの娘さんにまで気を遣わせて」 「私こそ、興奮してしもた」 二人でまた1本電車を過ごして・・・ 「今日・・・ちょっと、霧が  晴れたような気がするわ。  あなたと話して・・・」 「私も、もう一回頭を整理出来そう」 二人で顔見合わせて、笑った・・・。 「もう日も暮れそうやね」 「次、乗りましょうか?」 立ち上がったら 「 ・・・ 」 余計にオバチャンの 真っ直ぐな白い髪が気になった。 「せや!リボンリボン・・・」 いつも予備に入れてるリボン。 「長い髪、手入れしてあげて下さいね、  こんなに綺麗なんやから」 肩横にふんわり流れる感じで結んだ。 「天六の『happiness美容室』  ウチなんですけど。お父さんやったら  もっとエエ感じに出来るから  また来て下さいね」 手鏡をオバチャンに向けた。 「あら・・・?!」 オバチャンは目覚めた姫みたいに 鏡を覗きこんで、 「ちょっとのことで違うんやねぇ。  ちゃんと綺麗にせんと、  主人にも死んだ子供にも悪いね」 ちょっとのこと・・・ 息子さんもあと少し、ほんの少し・・・ 待てんかったんやろか・・・。 ホーム端から入る普通列車を 二人で迎えた・・・。  
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