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「いややわあ、私・・・
ヨソの娘さんにまで気を遣わせて」
「私こそ、興奮してしもた」
二人でまた1本電車を過ごして・・・
「今日・・・ちょっと、霧が
晴れたような気がするわ。
あなたと話して・・・」
「私も、もう一回頭を整理出来そう」
二人で顔見合わせて、笑った・・・。
「もう日も暮れそうやね」
「次、乗りましょうか?」
立ち上がったら
「 ・・・ 」
余計にオバチャンの
真っ直ぐな白い髪が気になった。
「せや!リボンリボン・・・」
いつも予備に入れてるリボン。
「長い髪、手入れしてあげて下さいね、
こんなに綺麗なんやから」
肩横にふんわり流れる感じで結んだ。
「天六の『happiness美容室』
ウチなんですけど。お父さんやったら
もっとエエ感じに出来るから
また来て下さいね」
手鏡をオバチャンに向けた。
「あら・・・?!」
オバチャンは目覚めた姫みたいに
鏡を覗きこんで、
「ちょっとのことで違うんやねぇ。
ちゃんと綺麗にせんと、
主人にも死んだ子供にも悪いね」
ちょっとのこと・・・
息子さんもあと少し、ほんの少し・・・
待てんかったんやろか・・・。
ホーム端から入る普通列車を
二人で迎えた・・・。
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