一話 始まりはあの日から

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だから、お父さんの言いつけ通りにした。そうしないと、いけないって思った。 私は、この家の人間が嫌い。この本庄の家が この家に、私の居場所なんてない。 この家の人間は、狂っている。もしかしたら私も両親と一緒に、居れたかもしれないのに…… 7歳の私の誕生日のあの日、私の両親が忽然と消えてしまったあの日、3人で出かけるはずだった。 けど、この家の人間に邪魔をされた。 私を蔵に閉じ込めて、どこにも行かせないようにした。だから私と両親を引き離したのは、この家の人間と言っても過言ではない。 そこまでするかって思った。私の事、大切だなんて思っていないくせに……言われるのはいつもお見合いのこと。 「お前が、16才になったら良家の家の息子と結婚させるからな! だからその日まで花嫁修行を頑張りなさい! お前だけが頼りなのだから」 これに対しての、私の返事はいつも同じ。 「自分の幸せは自分で決めさせてください」 これに対する答えもいつも同じ。 「お前はまだ子供なんだ。だから、大人の私たちがお前の幸せを決める。それに黙って従っていればそれでいい」 こう言われると、私は何も言えなくなる。いや言い返す気力が、無くなるって言った方がいいかもしれない。 あの人たちは、私の事何も見えていない 私は、まだ高校生なのに……それなのに、結婚とか早すぎだし考えが古すぎる。 そんなこと思っていても、口には出せない自分にも失望している。だからもう諦めたの。 私が、何を言っても無駄だって分かったから。10歳の時にそう悟った。いや悟らざるを得なかった、と言った方が正しい。 私が10歳の時、友達と遊んでいて私の不注意で転んで擦り傷を負った時、あの人たちは友達の親に抗議しに行った。 私の娘に、怪我を負わせたと。あの時私は、不注意で転んでしまった。このことにあの子は関係ない。 あの子は親友だから、私から奪わないで欲しいとどれだけ懇願しても、あの人たちは決して聞き入れてくれず、私は唯一の友達を失った。 その時に思った。私の意見なんて、聞き入れて貰えないんだって。どれだけ懇願してもどれだけ泣き叫んだとしても私の声は、この人たちには決して届かないって。 それなら諦めようこの人たちに、何を言っても無駄だってだから私は諦めた。
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