女神と彼の再会

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その二人が別れた事も当時、大きな噂になった。二人に勝手に理想を押し付けていたので、なんで別れたの?きっと西崎さんが捨てたんだ!なんて、その後いつも女性に囲まれている西崎さんを逆恨みのように見ていたし、1人で学内を歩く愛華さんに勝手に同情したりしていた。 今考えれば浅はかで事情も知らない、身勝手な高校生の思いだ。当人にしかわからないことなのに。 そんなわけで、本人たちの知らない所ではあるが、私の中ではお二人は大きな存在だった。 その二人が今目の前で再会している……そのことに感動なのか懐かしさなのか、ざわざわした気持ちが胸を支配していた。 よく見れば愛華さんの隣にはものすごい顔の整った男性がぴったりと寄り添っていてにこやかではあるがとても西崎さんを警戒してるように見えた…… たぶん、今の愛華さんの恋人なのだろう。とても好きだという目で彼は愛華さんを見ている。 西崎さんの先ほどの様子やあの夜の話しぶりでは別れているが今でも愛華さんを好きなのだろうから、それを恋人は敏感に感じたのかもしれない。 何かを三人で話してから頭を下げて離れた二人の事を淋しそうに見送る西崎さんに……これ以上こっそり見ているのが辛くなって、まるで今来たかのように近付いた。 「お疲れ様です、西崎さん」 「よぉ菜々華」 近づくと、西崎さんは一瞬でいつもの笑顔の仮面被る。やはり案外分かりやすい人なのだな。 「ん、いいじゃん中々可愛いよ、でもなぁその眼鏡」 西崎さんは私から眼鏡をペイッと効果音を口で言いながら剥がした。びっくりして思わず顔を抑えてしまう。
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