音の正体

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 まず目についたのはスポンジタイプ。これは圧迫感があるから合わない人はとことん合わないが、遮音性がとても高い。  次にフランジタイプ、遮音性を調整できるから異常な音にも気づけるが、これは睡眠用ではなく、大きい音が鳴る機械を使う時に使用するものだ。長時間つけるのには向いていないから、これは候補から外しておこう。  最後にシリコンタイプ。売られているのは粘土タイプで、唯一耳穴に入れないタイプだ。自分の耳の形に合わせられるから圧迫感がなく、遮音性も高いのが特徴だ。寝てる間に外れてしまう可能性があるが、買ったばかりのものなら大丈夫だろう。 優先順位を考えると、絶対に欲しいのは高い遮音性、次に装着した時の不快感だ。となると、一番良いのはスポンジタイプだが、長時間つけていると耳が痛くなって不快感も出てくる。  今日は寝不足だから多少違和感があっても眠れるが……迷うなぁ。スポンジとシリコン、二つとも買ってしまおうか。実際につける時に考えよう。僕は二種類の耳栓を手に取ってレジへと向かった。 「ただいまー」 「あれ? 早いね、お帰りなさーい」  耳栓を買って真っ直ぐ家に帰ると、好美は驚きつつも迎えてくれた。この様子だと留守にしている間、変な音は聞いていないようだ。やはり夜中に現れるのだろう。 「やっぱり体しんどそうだよ。色が青い……」 「ははっ、今日だけで何回言われたことか」 「とりあえず、おさむくんは手洗いうがいをしてね。あっ、睡眠薬貰ってきたんだ。じゃあ、それも飲んじゃってね」  好美に背中を押されてキッチンへ行く。本当は日が昇っている時に寝たくはないが、起きていたら「早く寝なさい!」と言われそうだ。  怒った好美は怖い。普段は怒りと無縁な優しい顔をしているのに、怒ると目を吊り上げて睨んでくるからギャップが凄まじい。  怒り顔の好美を思い出して身震いする。頭から追い払うように睡眠薬を一気に流し込んで寝室へ行く。すると、シーツや枕が綺麗に整えられていた。寝る準備をしている間に綺麗にしてくれたのだろう。  耳栓はシリコンタイプを選択した。耳栓を使うのは初めてだから、スポンジタイプだと違和感や痛みで目が覚めてしまうだろう、という判断からだ。夜中に起きてくれるなよと願い、僕はゆっくり目を閉じた。
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