SOUL OUT

3/15
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「あーあ、魂が抜けて一ケ月が経っちまったよ」 「そうだニャー」 「ニャーって、なにそれ、寒い」 「猫なんだからニャーぐらい言うだろ、普通」  今、クソガキたちは高畑さんの家の屋根の上にいる。  春のうららかな昼下がりだ。この時期のお日さまの光は気持ちがよい。 「もう桜も散っちまったな。クラスのみんなは仲良しグループができて楽しそうにしてるっていうのに、なんでおれ、魂が抜けちゃってんだろ」 「いい加減、自分の体に戻ったらどうだ」 「戻れるものならとっくに戻っているさ。そういや、お前会うの久しぶりだな」 「二週間ぶりぐらいかな」 「どこで、何をやってたんだ?」 「ちょっと役所で申請手続きをしててな」 「役所?」 「猫の世界にもそういうのがあるんだよ」 「はあ、なんだそれ?それに、なんの申請したんだよ」 「化け猫の申請だよ」 「化け猫?なにそれ、怖い」 「人間は化け猫を化け物みたいに思っているが、本来、化け猫というのは猫の世界にとって名誉ある地位なんだぞ」 「申請するだけで手に入るのにか」 「バカタレ、申請するのには資格が必要なのだ。資格要件は細かいこと言うと沢山あるのだが、まず重要なのは寿命だな」     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!