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「あーあ、魂が抜けて一ケ月が経っちまったよ」
「そうだニャー」
「ニャーって、なにそれ、寒い」
「猫なんだからニャーぐらい言うだろ、普通」
今、クソガキたちは高畑さんの家の屋根の上にいる。
春のうららかな昼下がりだ。この時期のお日さまの光は気持ちがよい。
「もう桜も散っちまったな。クラスのみんなは仲良しグループができて楽しそうにしてるっていうのに、なんでおれ、魂が抜けちゃってんだろ」
「いい加減、自分の体に戻ったらどうだ」
「戻れるものならとっくに戻っているさ。そういや、お前会うの久しぶりだな」
「二週間ぶりぐらいかな」
「どこで、何をやってたんだ?」
「ちょっと役所で申請手続きをしててな」
「役所?」
「猫の世界にもそういうのがあるんだよ」
「はあ、なんだそれ?それに、なんの申請したんだよ」
「化け猫の申請だよ」
「化け猫?なにそれ、怖い」
「人間は化け猫を化け物みたいに思っているが、本来、化け猫というのは猫の世界にとって名誉ある地位なんだぞ」
「申請するだけで手に入るのにか」
「バカタレ、申請するのには資格が必要なのだ。資格要件は細かいこと言うと沢山あるのだが、まず重要なのは寿命だな」
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