SOUL OUT

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「確かにお前、猫にしては長生きだよな」 「あとは、所定の年数、自治会長を務めあげることだな」 「自治会って、夜中によくやっている猫の集会のことか」 「ああ、そうだ。自治会と言ってもだな、地域の役員を決めたり、ルールを話し合ったりするだけではなくて、猫同士の社交場だったり、情報交換の場だったり、猫にとっては世界そのものみたいなものだからな。ルール決めでいったら、人間でいうところの国会と同等なんだな。だから、私は総理大臣とほぼ同じ地位にいるわけだ」 「総理大臣?よく言うよ、お前がそんな偉くも人望も無いに決まっているだろう。でも、確かに小学校五年ぐらいからか、おまえ自分の家に帰らなくなったもんな。どこほっつき歩いているのかと思ったら、そうか、近所づきあいしてたのか」 「あんな、軒先に段ボール突っ込んだだけの場所が自分の家っていうのもなんだかね」 「贅沢なこと言ってるんじゃないよ」  クソガキは、ふん、とそっぽを向いて鼻白んだ。  このくらいの頃のクソガキは、友達と遊ぶことが多くなりあまり化け猫のことは相手にしなくなったが、ときおり化け猫の住処を訪れていたようだ。     
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