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 流石に怒らせたかなと頭の悪い子供の頃の僕にもハッキリわかった。  次会ったら謝ろう。  その「次」はいつまでたっても来なかった。  彼女と迎えた最後の朝。東の空を煌々と照らす朝日は夜通し起きていた僕の目には明るすぎて思わず目を瞑ってしまった。その瞼の裏に残った像。ぼんやりと浮かぶその淡い輪郭はまさに、僕の宝物だった。しばらくして再び目を開けても、その像はぼやけたままだった。頬を伝う涙が布団に染みを作る。目をこすればその宝物の像は消えてなくなってしまいそうで、ずっと涙を零し続け布団はぐしょぐしょ、目は赤く充血しついに涙は枯れてしまった。ようやく鮮明な世界を目にした時、そこに彼女はいなかった。朝日が照らし出す家々の輪郭、逆光で真っ黒な庭の木々、そして青と赤の入り混じる曖昧な空の境界、その全てが目に映ってハッキリわかるのに、その世界のどこを探しても彼女はいなかった。  今でも僕は、昔とはすっかり変わってしまったこの朝日の描き出す風景の中に彼女を探してしまう。それでもそこに彼女はいなくて、また絶望するのだ。
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